おすすめの今月の1枚

   
大塚国際美術館スタッフが毎月おすすめの作品をご紹介。
絵画鑑賞をもっと身近に興味深く楽しんでいただけたら嬉しいです。
 
※「今月の1枚」は、2019年9月をもちまして、終了させていただくこととなりました。ありがとうございました。 
 

【今月の1枚】ファン・デイク、フローリス《チーズのある静物》

【今月の1枚】ファン・デイク、フローリス《チーズのある静物》
 

「食に込められたメッセージ」をテーマにした今月の1枚。

 

1600年代 オランダの静物画はチューリップなど『花の絵』と『食卓』が2大主題として、 一般市民に大変人気があり、大勢の画家によって数多くの作品が描かれた。 この作品は、テーブルに花や鳥などをデザインした通常、 絹で織られたダマスク織(シリアの 首都ダマスカスに由来)のクロスが掛けられ、中央にはオランダの代表的なチーズであろうゴーダチーズが規格サイズ(直径35cm×高さ11cm 重さ12㎏)にほぼ近い大きさの 直径30cm×高さ11cmで描かれており、淡黄色や熟成した黒色のものが三段重ねで 存在感を放っている。そのまわりには、リンゴやブドウそして木の実や飲み物が置かれている。

このチーズや果物には4つの基本的な味覚が表現されており、例えばチーズは「塩味」 リンゴは「酸味」ブドウは「甘み」そして木の実は「苦味」。また、高級そうな異国からの 食器類が質感豊かに描かれているが、これらは取りも直さず、当時オランダが海外貿易で 得た富の象徴であり、豊かな食文化を表現している。・・・が細かく観てみると手前には、リンゴの剥かれた皮や木の実の皮が散らかっている。これは栄えたものは何時の日か衰えていくという儚さ(ヴァニタス)を意味し、自国の戒めとしているようだ。

人間にとって最も重要なひとつ『食』のテーマは歴史画、宗教画にくらべて序列は低いとされているが、物言わぬ、静かなものを描く画家たちの情熱が今も伝わってくる。

(文責 岡村修二 2019年9月)

 
 
ファン・デイク、フローリス《チーズのある静物》
ファン・デイク、フローリス《チーズのある静物》 
1613年 油彩、板
82.2×111.2㎝
アムステルダム国立美術館、アムステルダム、オランダ
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