おすすめの今月の1枚

   
大塚国際美術館スタッフが毎月おすすめの作品をご紹介。
絵画鑑賞をもっと身近に興味深く楽しんでいただけたら嬉しいです。
 

【今月の1枚】デューラー、アルブレヒト 《自画像》

【今月の1枚】デューラー、アルブレヒト 《自画像》
 
デューラーはラファエッロと同時代のドイツ画家で、ドイツにおけるルネサンスの代表者です。金細工師の父のもとで技術を習得、15歳から工房での修行を始め、この後ドイツ各地、スイス、さらにはイタリアに2回旅行しています。
 
この自画像はデューラーが1500年、28歳のときに描きました。キリスト教では1500年、2000年という時の分かれ目が非常に重大な意味を持っており、教会の大聖年にあたっていた1500年はアレクサンデル6世が大規模な免罪を発表し、多くの信徒がローマをめざして巡礼に出かけました。いくつもの不穏な事件が歴史の交代を告げており、悪政による教皇庁の腐敗はやがてルターの反逆を呼び起こし、デューラーもその運動に加わることになります。
 
この時代、正面向きの図式的な構図はイエス・キリストにしか用いられず、王侯貴族や自画像を描くときは、四分の三どちらかに向いた姿か、真横から見た構図で制作することが継承されていました。しかしここでのデューラーの真正面を向いた完璧なシンメトリーの姿はまるでイコンのようで、当時の新しい自画像の表現を生み出しています。みずからキリストに倣って、絵画によって何事かをこの世でなそうという、並々ならぬ決意がその目に感じられます。
 
顔の右横に金文字のラテン語で「1500年に28歳のデューラーが不滅の色で自分を描いた」と記しており、左側には1500の数字と、自身の名アルブレヒト・デューラーの頭文字AとDを組み合わせて図案化したサイン(モノグラム)を描いているのも新しい点です。
 
当館では作品に近づいて鑑賞できる特性を生かし、虫眼鏡を使って鑑賞する体験型アートツアー「美術探偵 7つの署名」を開始します。フェルメール、ブリューゲル、マネなど、画家のサインを見出しながら名画に描かれた細部の美をじっくり鑑賞しませんか。
 
詳細・お申込み:体験型アートツアー「美術探偵 7つの署名 
 
(文責:土橋 加奈子  2018年9月)
 
 
デューラー、アルブレヒト《自画像》
デューラー、アルブレヒト[1471-1528]
《自画像》
1500年
油彩、板/67×49㎝
アルテ・ピナコテーク、ミュンヘン、ドイツ
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