おすすめの今月の1枚

   
大塚国際美術館スタッフが毎月おすすめの作品をご紹介。
絵画鑑賞をもっと身近に興味深く楽しんでいただけたら嬉しいです。
 

【今月の1枚】ルノワール、オーギュスト《ピアノに向かう娘たち》

【今月の1枚】ルノワール、オーギュスト《ピアノに向かう娘たち》
 
今月は、印象派を代表する画家の一人、ルノワールが描いた「ピアノに向かう娘たち」をご紹介いたします。
 
優しさが満ち溢れる豊かな暖色が使われており、娘たちの愛らしい表情やふんわりとした頭髪、洋服の質感や柔らかい肌が感じられるような描写によって、温かくゆったりとした雰囲気を味わうことができます。
 
二人の娘がピアノに向かう姿が描かれておりますが、一人は椅子に座って片手を鍵盤に置き、もう一方の手で楽譜をめくろうとしています。もう一人の娘は、右手を椅子の背に置きながら、寄り添うように楽譜を覗き込んでいます。二人の構図的な一体感と、心を一つにして弾くことや歌うことに集中している二人の精神的な一体感が作品の親しみやすさを盛り上げています。今にも少女の奏でる美しいピアノの音色が聴こえてきそうですね。
 
この作品は、フランス政府の非公式な注文に応じて制作され、ルノワールにとって、そして、印象派全体の作品の中で、初めて国家に買い上げられた作品だと言われています。かつてはリュクサンブール美術館に所蔵されていましたが、現在はオルセー美術館に所蔵されています。
 
幼い頃のルノワールは、サン・トゥスタッシュ教会の聖歌隊に入り、作曲家のシャルル・グノーが本格的に音楽の勉強をさせてはどうかと両親に勧めるほど、歌声が大変美しかったそうです。もしここで音楽の道に進んでいたとしたら、ピエール=オーギュスト・ルノワールという名前は、声楽家として知られることになっていたかもしれません。
 
彼の作品は、絵画に見られる柔らかな色彩の美しさと表現力の豊かさが魅力的です。またそれらは、彼の穏やかで友好的な性格や、人を愛し、また、人に愛された人生を物語っています。
 
ぜひ、お越しいただいた際には、ルノワールの心温まる作品17点をご鑑賞ください。
 
(文責:吉本 早希 2017年3月) 
 
 
 
ルノワール、オーギュスト《ピアノに向かう娘たち》
ピアノに向かう娘たち
ルノワール、オーギュスト(1841-1919)
オルセー美術館、パリ、フランス
油彩、カンヴァス/116×90㎝
1892年 
※写真は大塚国際美術館の展示作品を撮影したものです 
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