おすすめの今月の1枚

   
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【今月の1枚】マルティーニ、シモーネ《受胎告知と二聖人》

【今月の1枚】マルティーニ、シモーネ《受胎告知と二聖人》
 
今回ご紹介する絵画はマルティーニ、シモーネが描いた「受胎告知と二聖人」。
受胎告知とは、神によって遣わされた大天使ガブリエルが処女であった聖母マリアの元に現れ、マリアが神に選ばれ、神の子の母になることを告げるという話だ。受胎告知が行われた季節は花の季節とされ、一般に3月25日とされている。
ここで、なぜ6月の1枚に「受胎告知」を選んだのかと思う人もいるだろう。過去の「今月の1枚」でも3月の記事にレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた「受胎告知」を掲載している。しかし今回はこのテーマではなく、作品に描かれた植物を紹介したい。
本作には中央に白ユリ、大天使ガブリエルの手にオリーブの枝葉が描かれている。
白ユリは純潔を表し、聖母マリアのシンボルとされている。多くの「受胎告知」に描かれており、この当時、フィレンツェの紋様でもあったが、この作品を描いたシモーネはフィレンツェの敵であったシエナの派閥だった。この政治的理由から、白ユリには大天使ガブリエルの手元に描かず床の上の壺に生けられている。花の種類は古くからヨーロッパの人々に親しまれたマドンナ・リリー。6月は花を見られる季節だ。しかし日本では気候風土がなじまないため、あまり栽培されていない。
オリーブは平和の象徴とされ、これも6月に花を見ることが出来る。旧約聖書の「ノアの箱舟」では洪水が終わった後にノアが放ったハトがオリーブの枝をくわえて戻ったことから、ハトと共にオリーブが平和の象徴となったとされる。
このように絵の中の花や植物に注目して鑑賞するのも、絵画を楽しむ一つの切り口といえる。鑑賞の際にはぜひ展示室の中で季節を感じてみてほしい。
 
(文責:内藤 寿美子 2018年6月)
 
 
マルティーニ、シモーネ《受胎告知と二聖人》
マルティーニ、シモーネ(1284-1344)
《受胎告知と二聖人》
1333年
テンペラ、板/265×305cm
ウフィツィ美術館、フィレンツェ、イタリア
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