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この作品は、当時ヴェロッキオの工房で修行中の若きレオナルド・ダ・ヴィンチが描いたもので、
事実上の彼のデビュー作とされている。
ナザレに住むマリアのもとに、なんの予告もなしに突然現れた天使ガブリエルが
「おめでとう。恵まれた女よ。主があなたと共におられる」と告げ、乙女であるマリアに聖霊による神の子の懐胎を伝えるといった内容のものが描かれている。
ルカ福音書第1章の記述に基づいて描かれたものと推定できるが、
まだあどけなさの残る読書中のマリアに天使ガブリエルが恭しく懐胎を告げることから「受胎告知」というタイトルになっているが、
マリア信仰のあるカトリック教徒には、大変好まれる画題の一つでもある。
左手に持つ百合の花は、純潔のまま身籠もったという証とされており、そしてガブリエルが右手の二本の指を立てる仕草は、祝福を意味するポーズであることも知っておいて頂きたいものである。
この主題に基づいて描かれた絵画は、世界中にそれこそ無数に近い数で存在しているだろうが、
どの絵にも共通しているのは向かって左にガブリエル、右手にマリアが描かれているものが多いということである。
これはガブリエルの伝えている言葉が、左から右に書くラテン語文字で画中に書かれるようになった影響からと思われる。
文字を書かない場合でもどの作品を見比べても、大体この形式で描かれているのは大変興味深い。
ちなみにマリアがまとっている衣装のうち、赤は「愛情」を、青は「信仰」を表していると言われているので、マリアの描かれている作品をご覧になる時には、ぜひご確認して頂きたい。
(文責:学芸部 平田雅男 2012年2月)

《受胎告知》
1472-73年頃
98×217cm
ウフィツィ美術館、フィレンツェ、イタリア
※写真は大塚国際美術館の展示作品を撮影したものです※