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「最後の晩餐」修復前後の展示の意義 -20年を費やして出会った、レオナルド・ダ・ヴィンチ オリジナルの筆跡-

「最後の晩餐」(1495~98頃)は巨匠レオナルドの代表作というばかりではなく、ルネサンス古典様式を代表する西洋美術史上の最高傑作と云われています。

しかし、この壁画の運命は極めて悲惨なものでした。

1970年代までは、その芸術的価値もよくわからないほど画面は暗く形もはっきりしませんでした。ところどころにレオナルドらしくないタッチがあったりもしました。 その損傷の理由は、レオナルドが漆喰の壁にはふさわしくないテンペラ(顔料に亜麻仁油と卵 を混ぜたもの)で描いたこと、教会の食堂の壁に描かれたために湿気をたえず吸収してしまったこと、1943年に連合軍の空爆によって建物が破壊されて構造 体が大打撃を受けたことなどです。そのうえ、18世紀以降、繰り返し描き直しや描き加えが行われてきました。

20年もの年月を費やした、
科学的な解明・修復への取り組み。

1977年に、ミラーノの文化財保存監督局が女性の修復士ピニン・ブランビッラさんに依頼して、科学的検査をもとに、画面に堆積した塵や加筆を細い筆で 取り除いてゆくという綿密細心な気の遠くなるような修復作業が開始され、それが20年も続きました。

汚れや加筆が取り除かれた結果、わたしたちははじめて レオナルドが描いたオリジナルの傑作に出会うことが出来たのです。その結果、いま私たちは心から、この絵が、描かれた直後から歴史に残る傑作といわれたのはなぜかを実感することができます。

このたび、大塚国際美術館が修復された画面を修復前の画面と並べて展示するということは、20世紀がようやく修復という科学によって真のレオナルドを復 活させたということを示し、わたしたちにオリジナルの「最後の晩餐」の価値をはっきり知らせてくれることになるのです。

千葉大学名誉教授
川村学園女子大学教授
大塚国際美術館 絵画選定委員
若桑みどり

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